2023.03.18
3月1日、年長クラスが卒業制作を行いました。今回も講師の先生は玉野市に工房をかまえる十河隆史先生( https://t-pottery.com)です。子ども達は夏にも十河先生と土粘土あそびを経験しています。今回は、昨年度の経験を活かして、粘土の中に様々な形の新聞紙の芯を入れる手法を取り入れて行いました。
個性豊かな24作品が完成しました。作品は一度十河先生の工房にて素焼きされ、7日に園庭で野焼きします。
7日、素焼きされた作品は、テラコッタのような色になって、これだけでも十分に作品として成立しそうです。しかし!本活動の目的は野焼き。1万2千年前に人類がはじめて火を用いて土器を作ったのと同じ手法で、子ども達の作品に命を吹き込みます。ブロックで作った即席の窯にもみ殻を敷き、その上に作品を並べて、自分たちで調達した木の枝や落ち葉をやさしく被せまていきます。
こんもりと葉っぱや枝が被さったら準備完了!いよいよ火入れです。落ち葉や枝はあっという間に燃えきってしまうので、野焼きしている間、十河先生や職員は熱さや煙と格闘しながら気忙しく材料を追加し続け、約20分程焼きました。その間、子ども達は勢いよく燃える炎を見つめながら、自分の作品がそんな風になるんだろう…と期待と不安(というより心配?)が入り混じった神妙な表情で窯の中を見つめていました。
炎が完全に消えると、いよいよ作品の取り出しです。窯の中の作品はとても熱いので、大人が道具を使って一つずつ丁寧に窯から作品を取り出し、すぐに水で冷やして、子ども達にも見えるように窯の上に並べました。窯から出した作品を水に浸ける際の『ジュ―!』という大きな音に、子ども達はビックリしていました。
「(自分の作品が)あった!」「あれは○○ちゃんのじゃない?」など、子ども達はワクワク・ドキドキしながら、火によって、一層色の深みを増した作品の完成を皆で喜び合いました。その後、作品は園のホールに飾られ、皆で作品を見合ったり、お迎え時にクラス以外の保護者の方にも見てもらったりして、つかの間の作家気分を味わった子ども達でした。
園で毎年夏と早春に行っている土粘土あそび。粘土の面白い要素の一つは、可塑性です。子ども達はその特性によってイメージした通りに作品を創り出すことができます。もう一つは、その粘土に熱(火)を加えると強固になるということです。この2つの要素と子ども達の純粋さが組み合わって、粘土あそびにおけるワクワク感とドキドキ感、作品のオリジナリティは満たされるのだと思います。1万2千年の時を経て受け継がれる野焼き文化。これからも子ども達の発想や感性を発揮できる粘土遊びの可能性を追求していきたいと思います。