2025.02.03
1月17日(金)、陶芸家の十河隆史先生にお越しいただき、土粘土を使って卒業記念となる作品作りをしました。子ども達は、今まで出会ってきた「生き物」をテーマに、自分が作りたいものを決めていました。十河先生から一人ずつ粘土の塊を受け取ると、「冷たい~」「ずっしり重いなぁ」「土の匂いがする!」「柔らかくてこねやすい!」と土粘土の特性をワンダーパワーで感じながら、早速作り始めます。新聞紙を丸めた芯に土粘土を貼りつけていきながら、少しずつ形を作っていく子ども達。「ここはお顔だから、身体も作ろう!」「人参を食べてるうさぎにしよう!」など、個々にイメージを広げながら、じっくりと粘土造形を楽しみました。
途中、 バランスが取りにくくて倒れそうになったり、手などのパーツが上手くつかず何度もやり直したりする姿もありましたが、その都度、十河先生に優しく教わりながら、形を整えたり、粘土を足したりしながら完成させることができました。中には作品に名前を付ける子もいましたよ。そして、この活動はこれで終わりではありません。次は2週間後、子ども達が作った作品を今度は園庭で野焼きにします。
1月31日(金)、個々に作った作品の野焼きを行いました。作った時の土の色はいわゆる黒みがかった“こげ茶”のような色でしたが、十河先生がご自身の工房で事前に素焼きをしてくださった作品は“ピンク色のような肌色(タラコッタ)”に変化していました。子ども達も 自分達の作品を見つめながら「色が変わってる!」「なんでだろう…」と不思議そうなワクワクした表情。
野焼きに用いた窯は、当日に【ブロック・網・炭・耐火煉瓦】で作成しました。事前に大量の炭を燻しておくこと、窯にも空気の通り道を作っておくこと、色付けのために木の枝をある程度用意しておくことがポイントです。因みに、今回は過去の反省を活かして、耐熱対策として今や少し懐かしさすら感じるフェイスシールドを着用しています(効果は絶大!)。
準備が整ったらいよいよ窯の中に作品を入れて焼いていきます。「(窯の中は)何度くらいなの?」という子どもの質問に、十河先生が「600度くらいだよ」と教えてくれると「えぇー!熱い!」と驚きの声が上がりました。炎の中で、パチパチと音を立てながら色付く作品を見ながら「炭が黒いから炭みたいな色になるかな」「綺麗な色が見えてきた!」という声もあがりました。
焼きあがった作品は大人が持ち上げて一気にバケツ(水)の中へ投入!これが大きなポイントで、ゆっくり水の中に入れると作品と水温の温度差で作品が割れてしまったり、パーツが外れてしまいます。投入後、作品をバケツからゆっくりと出してみると、作品から『シュゥゥゥーッ』と勢いよく蒸気が噴き出しました。子ども達は「お風呂上りみたい!」と 科学の不思議に大興奮でしたよ。
茶色・黒・灰色など様々な色に仕上がった作品を皆で見合うと、子ども達から「後ろの方が前より黒いから影みたいに見える」、「場所によって色が違うのが素敵だった」など、色々な感想があがり、感じ方は人によって違うことを改めて感じられました。この活動は今回で6回目…すっかり園の造形活動として定着したように思います。また、個人的な感想ですが、年を重ねる毎に子ども達の造形表現はダイナミックに、そして、土と炎の力によってさらに生き生きとしているようにも感じます。今回も事前に素焼きをしていただいたり、お忙しい中、日程を調整してくださいました十河隆史先生、本当にありがとうございました。