2023.10.31
10月28日(土)絶好の染め日和となったこの日、5歳児クラスの子ども達は、親子藍染め体験を行いました。例年この藍染め体験は8月に実施していましたが、10月末に変更した理由は、藍のコンディションに他なりません。染めに用いるインド藍は天然染料であり、植物(生き物)なので、温度と湿度に敏感です。そこで、今回は藍にとって最も良い状態が維持し易い時期、つまり、気温が高くも低くもなく、加えて湿度も低いこの時期にしました。
染めの前に、室内で子ども達と保護者の方に藍(藍の歴史や蓼藍とインド藍の違い)の紹介と藍染めの教育的価値について説明を行い、次に、親子でTシャツに絞りを入れる作業を行いました。絞りといっても針と糸を使うようなものではなく、括ったり、結んだりするだけのごくシンプルな絞りです。でも、実はこういった絞りが抵抗なく、長い間使えそうな気がします(あくまでも個人的な意見です)。
絞りと染めの準備(手袋をつけるなど)が整ったら、会場を戸外に移して、藍染めの開始です。まず、水に浸けたTシャツを固く絞り、ゆっくりと染料の中に浸けます。途中親子で交代しながら染めること約2分、ゆっくり瓶から出して、脱水→流水で洗う→絞りを解くと、青と白のコントラストが美しい唯一無二の絞り模様が表れました。
この時ばかりは子ども達だけでなく、大人からも「おぉ~!」「キレイ!」と、至る所で歓声が沸き起こり、活動の中で最も興奮と満足感が高い瞬間です。その後は親子で記念撮影を楽しんだり、干したりして藍染め体験は終了しました。
藍染め体験の後、今回は藍を用いた重ね染めを紹介しました。体験染めの前に藍で薄い青色に染めた毛糸に、マリーゴールドから抽出した染料(橙)を重ねると、毛糸がみるみる青から若草色(緑)に変色します。この色を重ねることができるのも藍の大きな魅力の1つであると思います。
数ある植物染料の中でも、藍は媒染材を使わずに美しい青色を得ることができる稀な植物であり、その神秘さと不思議さは、古代エジプト文明から現代まで脈々と受け継がれています。今回の体験をとおして、子ども達が天然染料の色の美しさに触れ、その価値を実感してくれると嬉しいです。
また、今回染めに用いたTシャツは2サイズアップしています。彼らが小学生になって、この手染めの藍染めTシャツを着て、友達と元気いっぱいに遊んでいる姿が今から楽しみです。