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2025.06.06

藍建てと藍染め

園ではこれまで夏の草木染めとして、植物『藍』を用いた藍染めを5歳児を対象に行っていました。また、染めに使用する染料は、倉敷市児島の染工所に特別に生成して貰っていましたが、ここ数年は染工所の事情で染料を建てることが難しくなったため、藍染めの実施を見送っていました。

しかし、先日、12年前に卒業した元園児たちが園に遊びに来てくれた際に「園生活の中で何が心に(印象に)残ってる?」と質問したところ、複数の子が『藍染め』を挙げてくれ、「あの匂いが忘れられん」「目の前で色が変わるのが不思議だった」「(染料の)感触がぬるぬるしてた」など、10年以上前のことを克明に憶えていることに正直驚きました。やはり視覚より嗅覚や触覚の方が記憶に残り易いのかもしれません。

そこで、一念発起して『園で藍(の染料)を建ててみよう!』ということになり、早速材料集めを行いました。インド藍ブロック(インディゴケーキ)、ソーダ灰、ハイドロサルファイト、PH測定器等を取り寄せて、藍建ての準備完了!

5月27(火)、一般的な資料では藍建てはまず藍のブロックを粉々にして…次に水と適量の助剤を混ぜて...といった具合ですが、これらはあくまで趣味程度の藍染めを対象としていることが多く、今回のように大量の染めをする場合には配分等が適合しないことも想定されたため、自分のこれまでの経験と勘を信じて自己流の解釈に基づくアレンジを加えて藍(3瓶)を建てました。翌日の朝、状態を確認してみると、藍瓶の中の染料の調子はとても良く、PH値も11.2とちょっと高めではありましたが、まずまずの数値を示していました。

そして、5月28日(水)29日(木)の2日に分けて御南認定こども園と御南まんまるこども園の年長児(計75名)のTシャツの染めを行いました。正直、途中で染まらないくなったらどうしよう…、色が汚かったらどうしよう…と不安でいっぱいでしたが子ども達も藍(生き物)の特性をある程度理解して、とても丁寧に優しく藍を扱ってくれたこともあって、最後の1枚まで美しい藍色に染めることができました。また、5月30日(金)には4歳児のバンダナ26枚、6月6日(金)には馬屋下まんまるこども園の4・5歳児のTシャツ7枚も無事に染めることができました。本当に堅牢な藍に感謝、感謝です。

今回、自分で藍建てに挑戦したことで、これまで夏の暑い時期、さらに湿度の高い時期に行っていた藍染めを、藍が調子を維持し易い今の時期(気温も高くなく、湿度が低い)に行えるようになりました。また、自分で藍を建てるので、必要に応じて量や濃度を調整し易くなったことは大きな発見であり、メリットでした。

今後は、春はタマネギの皮やキンケイギク、夏は藍(インド藍)、秋はマリーゴールドやセイタカアワダチソウなど、一年間をとおして天然植物染料の柔らかさや素朴な美しさに触れていきながら、子どもの美的感覚や科学的好奇心、デザイン力、そして自分の日用品を作り使うことをとおして『モノを大切に、最後まで使いきる』子どもを育成していきたいと思います。

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