2025.05.02
5月1日、こいのぼりが悠々と泳ぐ園庭で5歳児クラスが春の草木染めを行いました。染料は各家庭や給食室から持ち寄ったタマネギの皮、材料は綿ローンハンカチ(26枚)、シルクサテン(5m×2枚※鯉のぼり制作用)、毛糸(3玉)です。
まず、保育室でハンカチに絞りを入れる作業からスタート。今回は染め上がりが美しい畳み絞りにしました。ポイントは、絞り方は統一していますが、最後に縛るゴムチューブの太さや本数は各自のセンスや好みに任せています。これによって生まれる意外性と偶発性が天然染料で染めるいちばんの魅力かなと個人的には思います。
絞りができた子ども達が園庭に集まってきて、いよいよ染めの作業です。はじめに染むらにならないように布全体を水に浸した後、タマネギの皮から抽出した約10ℓの染料の中に、ハンカチを一人ずつゆっくりと投入します。
待つこと約20分...染めたハンカチを媒染液(ミョウバン)につけて色止めをし
て絞りを解いてみると、子ども達の目の前に春らしい元気いっぱいの黄色と美しい絞り模様が表れました。同じ絞り方なのに、模様は全員違ってどれもとっても素敵!子ども達も「わぁ!」「みて、みて!」「かわいい!」と互いに見せ合いっこをして大喜びでした。
その後は流水でしっかり洗ってテラスに干してハンカチの染めは終了しました。大きな布と毛糸は安全性を考慮して保育者が染めを行い、工程を説明しました。
本来であればこれで終了となりますが、今年は個人的にずっと興味があった天然インド藍建てにはじめて挑戦してみました。固形のインディゴケーキを砕いて建てた天然藍は、建てている時から神々しい香りが辺りいっぱいに広がって染料になった状態はとてもいい感じ…頃合いをみて藍瓶の中に恐る恐るTシャツを投入して1分間ほど染めてみると、白い生地が瞬く間に美しい藍色に染まりました。この時ばかりは独りで静かに感動しました。
藍建てが成功したので今回はタマネギの皮と藍で染めた大きな布2枚を使って鯉のぼりを制作することに。青と黄色に染まった2枚の大きな布を子ども達と園庭で広げてみると、その大きさと美しい色彩に皆大興奮。この後、この大きな布から子ども達の手によってどんな『まんまる鯉のぼり』が誕生するのか、とても楽しみです。
現代は、我々の身の回りにある衣類のほぼ全てが化学染料によって加工され、簡単に、そして大量に商品化されて流通しています。それ自体は時代の流れである程度は仕方ないことだとは思いますが、それによって環境汚染が進み、我々の生きている地球に悪影響を及ぼしているのも事実です。保育者の使命として、未来を生きる子ども達に天然染料の美しさと共に、モノを生み出す側の責任とモノの価値について、こうした体験をとおして少しでも伝えていければと思います。